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話しかける人話しかける人、始終そんな感じでアレンに続く手がかりは欠片すら掴めない。
そして流石に疲れ始めてきた頃、俺はふりだしに戻ってみようと、もう一度食堂へと来てみた。
相変わらずアレンの姿はそこにはなく、先ほどは忙しそうだったため声を掛けてみなかった人に尋ねてみることにした。
「ジェリー、アレン知らないさ?」
「あら、ラビ。何?今頃起きたの?」
走り回って疲れ、カウンターに突っ伏した俺を見てジェリーはどうやら、俺が寝起きで、まだ眠気が取りきれないが為の行動だと思っているらしい。
「違うさ〜、一時間半前に一旦来たさ…んで、アレン知らないさ?」
再度、アレンの居場所を問い詰めると、ジェリーはウフフと含んだような笑みを浮かべた。
「全く、ラビは本当に幸せ者よね〜、アレンちゃんの愛の籠もったサンドイッチ、味わって食べた?」
ジェリーのその言葉で、俺の背中にちくちくと恨めしそうな視線が突き刺さるのを感じた。
「美味かったさ〜〜〜vv」
「まあったく!惚気くれちゃって〜〜あんなに可愛くて良い子はなかなかいないんだから、大事にしなさいよ〜〜〜」
「ああ、勿論さvv…って、アレンは知らないんさ?!」
ジェリーは言いたいことだけ言い終えると、さっさと厨房の方へと引っ込んでいってしまった。
「はあ…マジで何処行っちまったんさ〜アレン…」
「どうしたの?ラビ」
可憐な声の持ち主は、この教団のアイドル的存在の一人であるリナリーだ。
「リナリー…、アレン知らないさ?」
「アレンくんを探してるの?」
「そうなんさ…もう2時間近く探してるけど、全然見つからないんさ…」
「ふ〜ん…」
何か含んだような視線。ついさっきもどこかで見たな。
「幸せ者には、教えたくな〜い……って、言いたいところだけど」
「リナリー?」
「ま、今日は特別な日だから、教えてあげようかな…」
「特別って?」
「ラビの…今、一番行きたい所に行ってみれば?そこにいるかもよ?」
答えなんだか答えじゃないのだか良く分からない言葉を残して、リナリーは楽しそうに去って行く。
「ええ!?それだけ!?」
それでも、何の手がかりもないよりはマシかとリナリーの言った台詞を思い返そうとしたときだった。
「ラビ!今日の夕方は、ちゃんとご飯食べにアレンくんと食堂へ行くこと!絶対だからね!」
廊下の曲がり角手前で立ち止まったリナリーが、俺をビシッと指差してそう言うと、今度こそ角を曲がっていってしまった。
「な、何だったんさ?」
今日は誰も彼もが、なんとも曖昧な言い方をする日だ。
だが、ゆっくり回想している暇はない。もうどうにもこうにもアレン不足で、飢え死にしそうなのだから。
思い出すのはさっきのリナリーからのヒントのみ。
「俺の“一番行きたい所”?」
俺の一番行きたい所。それは勿論。
「アレンのところさ…」
即ち。
「もう一回、アレンの部屋に行ってみるさ!」