部屋を飛び出してから1時間。
依然として俺はアレンに会えずにいた。
まず最初に、アレンと一番遭遇する率の高い食堂に行ったが、残念ながらアレンの姿は勿論積み重なる食器の山一つすら見つけられなかった。
だとしたら次は自室かと思ったが、返事はない。試しにドアノブをまわしてみると、あっさりと開いたが中はもぬけの殻だった。
在室中は勿論、出かける時はちゃんと鍵掛けろってあんだけしつこく言ったのに!
え?何か違ってるって?
違ってなんかないさ!アレン可愛いんだから、誰か忍び込んできたら危ないだろ!?だから在室中は一番気をつけて鍵掛けないとならないんさ。
相変わらず無用心すぎる所は、ちゃんと注意しなきゃならないと。
その後も鍛錬場だの資料室だの思いつく限りのところは探し、擦れ違う人皆にアレンの居場所を聞いて廻った。


「なあ、アレン知らない?」

「う、ううっ、この果報者〜〜〜!!!」

「はあ?」

突然俺を見てそう叫んだかと思いきや、腕で目元を拭いながらファインダーの男は去っていった。

「悪いな、ラビ。報われない思いを今も抱いてる哀れな男の戯言だと思って、許してやってくれ。俺もあいつの気持ち、良く分かるんだ」

彼と一緒に居たもう一人のファインダーが、哀愁漂う様子でぽんと俺の肩を叩いてそのまま肝心なアレンの情報は何一つ教えてくれないまま、去っていってしまった。

「な、何なんさ?」


別のところでは。

「おうラビ。おまえ今日、たん―――」

顔見知りの中でも取り分けて親しい内に入るファインダーが、妙にニコニコして声を掛けてきたと思ったら、隣に居た奴が彼の言葉の途中でかなり慌てた様子で口を塞いでしまった。

「ばか!おまえ、緘口令布かれてただろ!?」

「ふがっ!…わ、悪ぃ(汗)」

本人たちは声を抑えていたつもりだろうけど、まるっと聞こえている。

「なあ、『たん』何なんさ?」

「い、いや!大したことじゃないから!」

「そうそう、別になんでもないから!じゃな!」

不自然なくらい動揺したまま彼らは風の如く去っていき、やっぱりアレンの情報は何も掴めなかった。

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