いつだってその凛とした背中を見ていた。

03 誰よりも強かな

ギゼル率いる女王国の動きが停滞し、取り敢えず城内には和やかな空気が漂っていた。
久しぶりに訪れた休日に、俺は足取りも軽く愛しい人の姿を探していた。
どこかへ連れ出してゆっくり過ごしたいな。
どこへ行こう。
サイアリーズ様はお酒強そうだなぁ…なんて考えていた。
綺麗で聡明で、そして強くて気高い……。
そこでふと思考が途切れる。
いつのまにか頭の中に浮かんでいたのは、ずっと好きだったサイアリーズの姿ではなく。

「…王子」

強くて気高く…孤高の存在。
此処最近、王子を思い出すときの映像は凛とした後姿ばかり。
いつだって先頭に立ち、いつだって前だけを見据えて戦い続ける後姿。
本当は誰よりも戦いなんて似合わない人なのに。

そしていつのまにか俺は王子の姿を探して、走り始めた。

守りたい。

誰よりも優しく。誰よりも愛しい人。

儚げに見えて、誰よりも強かな光放つ貴方を守りたい。

「王子!」

「カイル?」

「貴方の背中を守るのは、俺の役目ですからね?」

「え?どうしたの?カイル」

俺は王子の華奢な身体を抱き締めた。

「王子、背中出しすぎなんですもん…俺、心配です」

「は?」

本当はその見の全部を守れたらと思うけれど、きっと貴方は許してくれないだろうから。
貴方が強く在れるように、安心して戦えるように。
もっと貴方が誰よりも強かに生きられるように。

「ちょっ!カイル?放しっ…」

「嫌でーすvv放しませ〜んvv」

「強か」ってあんまり良い意味に使われてないよな〜と思い、正確な意味を調べてみ
たら「粘り強く て、他からの圧力になかなか屈しないさま」とも書いてあったので、
別に王子の形容詞として使っても大丈夫だな。と思ってこんな話になりました。
カイルだったらまさしく「しぶとい」という意味でもOKだと思うんですが(苦笑)そうす
ると間違いなくコメディになりそう(笑)それはそれで面白そうだったかな?と思いつ
つ、こんな話となりました。
短文ですが、少しでも楽しんでいただければ光栄ですvv

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