<1>
sweeter than the chocolate?
「ラビへのプレゼントは、食堂にいるから」
任務から帰ってきた俺に、リナリーが最初に告げた言葉はそんな言葉だった。
「食堂に“いる”?」
リナリーのおかしな言い回しに首を捻りながらも、ラビは素直に従って食堂へと向かった。
だが、ラビが素直に従ったにはもう一つの思いがあったからだった。
「アレン、いるかな?」
そう。
彼にとっての最愛の恋人であるアレンが、いる可能性が高い場所のひとつが食堂だからだ。
今回の任務は1週間と短かったが、それでもラビには充分すぎるほど長く感じた。
同じく別の任務に就いていたアレンも昨日のうちに帰ってきているということは、任務終了の報告を教団に電話した時に確認していた。
だから間違いなく教団内にいる。
早く会いたい。
早く話したい。
早く触れたい。
どうかそこにいて欲しいと言う願いを込めながら、ラビは今にも駆け出しそうなスピードで食堂へと向かった。
そしてラビの願いが届いたのかどうか。
は不明だが、アレンは食堂に…?
御馴染みの食器タワーはなく、そのかわりと言うくらいに巨大なケーキがドンと置かれていた。
アレンの姿は見えないが、こんなケーキを食べられるのは彼しかいないだろうと思ったラビは、恐る恐る声を掛けてみた。
「あ、アレン?」
「あ、お帰りなさい、ラビ」
その巨大なケーキの陰にアレンは確かにいた。
ケーキの横からひょっこりとアレンの顔が現れ、愛らしい笑顔でラビにそう言った。
胸焼けしそうなほどのケーキの塊には一瞬退いたが、アレンの笑顔を見た瞬間にそんなことは霧散してしまう。
「ただいまさvvアレン」
嬉しさが溢れているかのような軽い足取りでアレンの横へと回ると、隣に腰掛けた。