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これから任務に出かける者。逆に任務から帰ってきたばかりの者。
徹夜明けの仕事から漸く解放されて、食事にありつけた者。
等など。
黒の教団では様々な人間が生活している。
それぞれがそれぞれの任務や仕事をしている為、生活サイクルは様々である。
その為に、食堂はほぼ常に誰かしらが利用している。人が1人も居ないと言う時のほうが珍しいくらいだ。
そんな多忙な食堂を取り仕切っているのが、オネエ言葉がとても魅力的な豪腕料理人のジェリーである。
そんな彼?の元に、この教団のアイドル的存在である1人の少女が足取りも軽く向かっていた。
Party*Party 1
ツインテールの少女----リナリーは食堂に入るとすぐ、周りの状況を確認する。
朝食には遅く、昼食を取るには未だ幾分早すぎると言う、今現在の食堂の中には、数名のファインダーが居るのみ。しかも、特に任務が入っている訳でもないのか、どことなくのんびりとした空気が流れている。
あの大食いのエクソシストの姿も見えない。
----今がチャンスね。
忙しいジェリーに相談を持ちかけるなら、今が一番良い機会だと判断したリナリーはメニューの受け付けをする窓口へと向かう。
「こんにちは、ジェリー」
「あら、リナリーちゃんvvいらっしゃい。何か注文する?」
「ううん。今はね、違うの。ジェリーってもうすぐ誕生日よね?」
「まvv覚えててくれたの?」
おたまを握り締めたままの手を頬にあて、喜ぶジェリーににっこりとリナリーは微笑み返す。
「勿論よ!大事な家族の誕生日ですものvvそれでね、何かして欲しいこととかある?」
「して欲しいこと?」
「そう、して欲しいこと。あ、プレゼントの方は当日まで楽しみにしててね♪」
「ありがと、リナリーちゃんvv…それにしても…して欲しいこと?」
思案するようにそう何度か繰り返しながら、未だ手にしたままのおたまの先を顎の辺りに当てている。考えているときのジェリーの癖だ。
「そう、何でもいいのvv食堂や厨房の大掃除でも、何でも。アレンくんやラビも協力してくれるって了承済みだから、多少の力仕事でも良いのよ?」
「アレンくんたちも?」
「ええvv」
「そうねえ……」
再び考え込んでいたジェリーだったが、急に何かを思いついたのかぽんと一つ手を打つとにんまりと微笑む。
「何か思いついた?」
「ええvvとってもイイコトをね♪」
「何?」
「それはね----」
そうして、食堂の片隅でひっそりと密談が行われた。