「見てください、ラビ!雪ですよ!」
お昼を過ぎた頃にちらりちらりと降り始めた雪。
段々その塊が大きくなっていって、ふわりふわりと舞う様に降りてくる。
「アレン、頭雪がすげえさぁ…」
どんどん降り積もっていく雪を落としてやろうと、手を伸ばすがアレンはその手をすり抜けて楽しそうに駆け出す。
久々に見る、年相応の無邪気な様子に、俺は笑って見つめていた。
その時。
「うわっ!!…っぷ」
突然風が強く吹き、勢いの止まらない雪に一瞬アレンの姿が隠されてしまう。
「アレン!!」
俺は焦るように走り寄り、アレンの身体をかき抱く。
「どうしたんですか?ラビ…」
一度アレンを失ったあの日から、消えることのない不安。
この真っ白い雪がおまえを覆い尽くして、そのままかき消されてしまいそうで。
この手に取り戻したものは、幻想だったのだと思ってしまいそうで。
俺は必死で抱きしめる。
俺の腕の中に硬く硬く閉じ込めて、一生繋ぎとめることができるならば、何もかもを捨てても構わないのに…。
どうか消えてしまうのなら、その時は俺も一緒に…。
一緒に。この雪の檻に閉じ込められたまま。
切な系ラビアレ。
アレンは真っ白なので、雪とか降ってきたら同化してしまうんじゃないか?
と思ったところから発生しました。
一度失ったと思った感情って再び手に入れても、失う前より更に怖いんじゃないかなぁって思ったり。
雪が絡むとなんか切ない感じの話が書きたくなるなぁ…本人は雪見るとわくわくするのに(苦笑)